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気になっていた部分についての参考資料を何冊か読み、満足したので今度は違う参考書を持って自習室へと戻る
「お帰りー、気に入る参考書は見つかった?」
すかさず楓がそう声を掛けてくる
「まぁ、気になってた部分は解消できたよ」
「ふーん?って、その本、日本史じゃないよ?」
「分かってるよ?コレは家に帰って読む本。理科でどうしても理解できない部分があってさー」
そう言いながら持ってきた本を見せると楓は「こんな本もあったんだー」と意外そうに持ってきた数冊の理科の参考書を捲っている
「それじゃあ、理科は家に置いてあるから俺はもう帰るね?」
今まで広げていた勉強道具を鞄に仕舞いながら楓と聡広に言うと
「それじゃあ、俺達ももう切り上げようか」
と聡広に促されて結局一緒に帰ることになった
今日は聡広の車で一緒に帰宅する
始終、楓と聡広は話していたけれどそれを気にしないようにするためにずっと外を眺めていた
何の話をしているのか気になるけれど、全く分からない話が多いので口も挟めない
それならば最初から聞かないほうがマシだと思う
家に着くと聡広も一緒に家に入ってきた
どうやらこの試験期間中は本当に俺達に勉強を教える気でいるのかもしれない
母親達もさも当然という様子で対応している
「美希也、夕飯までまだ時間もあるみたいだし、俺の部屋で勉強しよっか」
行こうかとほぼ強制的に腕を引っ張られて楓の部屋へと向かう
どうやら断るという選択肢は用意されていないようだ
仕方なく一度部屋に戻り着替えてから楓の部屋に行き大人しく勉強する
勿論、聡広も一緒にいる
楓は英語が苦手なようでずっと英語を集中的に頑張っていた


「美希也、急にどうしたんだ?」
夕食も終わり、今日は楓が夕食の片付けを手伝っているようで、俺と聡広は一足先に楓の部屋へと戻ってきてすぐ、少し躊躇いながら聡広が質問してくる
「別に?試験1週間前だもん。普通でしょう?」
突然勉強する意欲を見せるようになったので驚いているのは分かっている
しかも、今朝あんな会話をした後なのだから当然の疑問だろう
「でも、良い点を取るメリットは見出せないとあんなにやる気がなさそうだったから・・・」
「確かにメリットはないけど、さすがの俺でも1週間前になったら試験の準備くらいするよ?別に良い点数を取りたいわけでもないけど、平均くらいには居たいしね?」
別に今朝の話では勉強がしたくないと言ったわけではない
ただ、メリットが見出せないと言っただけ
「そうか・・・あまりにもやる気がなさそうだったから心配だったんだけど、美希也の中では1週間前が区切りだったんだな」
「早く始めても途中でへばってしまうからね。短期集中型なんだ」
これ以上深く追求されるのを逃れるためにそう話を区切った


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