[GW企画] カノン-kill time-

ゴールデンウィーク
新しい環境下での生活に多少の疲れが出る時期であり
長期で休める期間である



今年のゴールデンウィークはどこに行こうか・・・
ちょっと遠出の旅行。天気予報では凄く天気が良いと言っていたし海でもいいかも。
パラパラと旅行雑誌を捲る
どこかに出かけようと計画していても誰と行くかはまだ決まっていない



「美希也、どっか行くの?」



声を掛けられたのでそちらを見るとタキが手元の雑誌を覗き込んでくる
「行きたいなーって思って」
「ふーん。誰と行くか決まってるの?」
「え?いや・・・まだ決まってない」
「そっか。マスター!美希也が遊びに行きたいってー」
「ちょ、ちょっとタキ?!」
突然大声でマスターにそういうタキに慌ててタキの口を押さえる
「タキ!声が大きいよ!関係ないお客様もいるのに」
別にココに居るのが俺達三人なら気にしない。でも、今は営業中だから客が何人かいるのだ
「いーじゃん。どうせ聞いてないって」
いや、思い切り客はこちらを見ている。思い切り興味ありますという顔をしてるのに「聞いてない」は無いだろう
「そ・れ・に・さぁ」
ぐいっと引っ張られて顔を近づけられ
「もしかしたら連れて行って貰えるかもしれないでしょう?」
小声でそう囁くタキに頭が痛くなった
「タキ一人で行ってらっしゃい」
さすがに連休中まで知らない人と過ごしたくはない。
「美希也、GW暇なんだったら店手伝うか?昼間から忙しいしな」
マスターがそう言ってくる
確かに暇だが店の手伝いで折角の休みは潰したくない
「マスターごめん。俺遊びに行く予定があるから!」
マスターとは遊びに行けなくて残念だけど、全員無理なわけじゃない。
「そうか。残念だな」
全く残念そうではない。寧ろ楽しそうだ
「誰も一緒に行く奴が居なかったときは、店を手伝えよ」
「誰も居なかったらね!」
最悪の場合は一人で休みを潰すよりは店を手伝った方がマシだろう
「マスター残念!俺が居るから店の手伝いは絶対無理だよー!」
はーい!と手を挙げてタキが自己主張しながら割り込んできた
「圭が無理だったら一緒に遊びに行こうね!」
どうやら「一緒に行く相手」=「圭介」の方程式ができているようだ
その通りなんだけどさ
「圭介はこの連休は何か忙しそうだからダメ。誘えなかった」
最近毎日学校が終わるとすぐに帰ってしまうし、休み時間も忙しそうにどこかに電話を掛けたりしている
「ふーん。じゃあ、美希也、俺とデートしようよ」
「デ、デート?!」
「嫌?」
「別に嫌じゃないけど・・・勘違いされそうな「デート」という言葉が嫌」
普通に一緒に遊びに行こうという意味で使っているって分かっていても「デート」と言うと気恥ずかしくなる
「照れなくていいのにー!じゃあ、決定!俺と遊びに行こうね!」
「あ、うん・・・」
わかったと続けるはずの言葉は『バンッ!』と勢いよく扉が開く音と、扉についているベルが扉を開けた力強さに比例して『カランカラン』と普段より大きな音で響いたことで掻き消えてしまった
バタバタと誰かが店に入ってくる
「美希也!」
どうやら入ってきたのは声から推測すると圭介のようだ
「圭介?」
「ココに居たのかよ。携帯も出ないし、学校にも居ないからすっげぇ探した」
「ごめん。今日携帯家においてきててさ。そんなに急用だったの?」
「もう、すっごく急用。行くぞ」
突然腕を引っ張られてタキやマスターに別れの挨拶もそこそこに外へと出た
「ねぇ、どこに行くの?」
大通りに出たところでそう聞いてみた
「まずは美希也の家。それから先は今は秘密」
後で分かるからとそれ以降何を聞いても答えてくれなかった



「うわー!山だー!!!」
家に帰り荷物を持ち出かけてきた先は圭介の家所有の別荘らしい
別荘の裏に聳え立つ山も所有地らしい
どんだけ広い土地を持っているんだ
「凄いな!圭介」
「まぁ、ココは代々ある場所だから。それより気に入った?」
「もちろん」
思っても見なかった連休の旅行なんだから気に入らないわけが無い。
「それはよかった」
にっこり笑う圭介は少し照れているようだった



「そういやタキに連絡しないと。この休みに一緒に遊ぼうという約束が成立する瞬間に圭介が来たから曖昧になっちゃったんだよね」
どうせキャンセルだけど。と言うと圭介は少し困った様子で
「非常に言いにくいんだけど、ココ田舎だろ?」
「ん?うん」
田舎なのは見て分かる。一応最低限の道路はあるがそれでも整備されていない所が多かった
「ココ電波通じないんだ」



「・・・マジで?」



どうやら強制的に音信不通になってしまったようだ
「こんなに綺麗なところだし、仕方ないよな」
自然保護には協力しないといけない
「因みに夕食はあの山から採ってこないと何も無いぞ」
「え?」



どうやらこれからサバイバルが始まるみたいです
自然が多いのは良いけれど
どうか無事帰れますように。



end.






タキ×ミキと見せかけてケイ×ミキでした。
夕食はサバイバルじゃなく、ちゃんと材料を最初から用意してあったので大丈夫だったみたいです
ちなみに時系列としては聡広と会う前の高校入学してすぐのあたりのお話です



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