【 position 】
「…だから、ココで攻めてしまえば一発KO!他で失敗しなければコレで倒せるはずだよ」
作戦を説明して幹部を見渡す
どう?と問いかけると
「よし、それでいこう。サイとレイは準備とこの作戦のための部隊編成を」
「チームなら作ってあるよ。きっとこのチームが一番最適だと思って組んでみたけど、使うかどうかはサイに任せる」
事前に作っておいた紙をサイに渡す
「仕事が早すぎですよ。アキ」
サイは苦笑を漏らしながら紙を受け取り、見る
そして頷いてから部屋を出て行った
「では、下準備に取り掛かります」
とレイも出て行く
この部屋に残されたのは俺と孝だけだ
「いつもありがとな」
ポンッと肩に手を置かれて後ろを振り返る
笑顔を向けてくれる孝に俺も笑顔を返した
この時だけは俺を見て笑ってくれるから。
だから…
「はぁー、作戦聞いたらもう用済みってことかなー?」
「俺はお前の愚痴聞きロボットやないねんけどな?」
ファストフード店にセンを呼び出しいつものように愚痴を零すとセンはまたかとうんざりした様子で椅子に凭れ掛かっている
「だってさー、こういう話できるのセンだけなんだもん!いいじゃんー!聞いてくれたって」
「まぁ、秋羅の立てた作戦っつーのには興味があるねんけどな?」
「ナニソレ。あわよくば参戦しようとか考えてるわけ?」
じとーっと疑いの視線を向けるとセンはごまかし笑いをしながら目線を逸らす
本当に喧嘩が好きなヤツだ
「いいけどねー。でも、勝手に喧嘩してるの鈴にバレたら制裁だよー?しかも俺からの」
「制裁は分かるけど、何で秋羅が制裁担当になるねん」
「決まってるから?どーせ鈴は面倒だからとか言って俺に押し付けるしさー。あ、手加減しないからね?」
「鬼やなー!秋羅の愚痴聞いてやってるのに。それに、秋羅だって他のチームの作戦立ててるってバレたら制裁対象やで?」
「そうかな?『futuro』に害があることをしてるわけじゃないし『futuro』と繋がるような戦い方は組み込んでないから大丈夫じゃない?」
にこりと微笑むと「ほんま鬼やわー」とセンが項垂れている
だって、他のチームとの勝手な喧嘩は禁止項目に入っているけど、他のチームへの戦略提供は禁止項目に入っていないからね?
「あーぁ、今回だって一緒に行きたいって言ったのに連れてってくれないし、じゃあせめて残ると言っても駅まで強制的に送られたし…こういう時しか一緒に居させてくれないくせにさー」
「そないなヤツさっさと見切りつけてしまえばええやん」
「センには分からない!どうせ本気で好きになった俺が悪いんだけどさ」
そう。俺が悪いんだ
あいつは最初から遊びのつもりだったんだろうけど、俺が好きになってしまったから…
「はぁ、だったら俺らの気持ちにも気づいてくれたってええと思うのにな」
小声でセンが何か呟いたが聞き取れなかった
「セン?何て言った?」
「なんでもない。それよりそろそろ行かな総長に怒られるで?」
「へ?あぁ、もうこんな時間なんだ…あーぁ、まだ言い足りないのに」
「後は本人に言い。俺よりよっぽど気持ちがスッキリするで?」
「意地悪ー!」
笑って茶化すセンの背中を軽く叩いて飲んでいたジュースが入った紙コップをゴミ箱に捨て店の外へ出る
この辺一帯は『futuro』の縄張りだ
だからか知り合いも多い
仲間には俺よりもセンの方が顔が広いのでよく声を掛けられ絡まれている
その様子を横目に笑いながら道を進む
「センー!遊んでると置いていくよ」
「ちょ、シュウ!遊んでるわけやないねんって、だからちょっとは助けてーな」
「ふふっ、どうしよっかー?」
からかいながらもセンの手を取って、センに絡んでいる人に「ごめんね、急いでるんだ」と声を掛けてから少し走る
スピードを上げて走っていく俺達に「おはよー」とか名前を呼んでくれる人が居て、その人達に「またね!」と返していく
こういう掛け合いがあると『futuro』…俺の居場所だと実感できる
「こんばんわ〜」
「遅いっ!」
出迎えてくれるのは幼馴染であり、『futuro』総長である鈴だ
「ごめんねー?センと遊んでたら遅くなっちゃったー」
へラッと笑ってそう言い訳してそれよりと話題を変える
鈴の隣でこのチームのためだけに考えたシナリオを話す
「で、シュウはどこにつく?」
「勿論、鈴の隣に。目を離すとすぐに勝手な行動を取るんだから!」
「人のこと言えないだろ!気づいたらセンのところに紛れて暴れてる癖に」
「センが勝手に楽しそうなこと始めるから紛れたくなるんだよ?」
全てセンのせいにして笑ってこの場から逃げ仲間のところへ行く
作戦の伝言と準備をはじめるために
今日も鈴の隣に立ち町に繰り出す
コレが俺のポジションだから
あとがき
かなり遅くなりましたが、2万HITありがとうございました!
秋羅の日常の一部分です。日常は書きたいことが多すぎるくらいありますw
この話の時間軸としては、本編の少し前あたりです。