[ スマイリー ]

君があまりにも綺麗に笑うから、
僕は、微笑み返してしまうんだ


クラスに必ず数人は居る目立たない奴。
今回の物語はそんなジミーズの一人。
転校生と同室になったばっかりにスポットライトを浴びてしまった可哀相な奴…の友達な俺。

え?お前全く関係ないのに出てくんじゃねぇって?

仕方ないでしょー、スポットライトが当たってしまった奴は忙しくてドタバタしてるんだもん。
打って変わって俺は暇人…いや、放課後は何かと忙しいんだけどね。
え?何してるのかって?それは、機会があれば教えましょう。


「幾兎!」
「んー?あ、お帰り。灯真」

いつものようにへにゃんと机に倒れていると、振り回されて大変そうな転校生の同室で俺の友達である灯真が俺に抱き着いてきた

「もう、幾兎だけが俺の癒しだー」
「ん?そう?」
微笑んで尋ねてみると
一瞬赤くなったけど
「うん!そう!」
と綺麗な微笑みを返してくれる

全くー、こういうところに転校生や生徒会とかが惚れちゃうんだよー

狼さん達の前でそんな無防備じゃねぇ…?

「はいはい、分かったからそんな顔はお前にゾッコンな奴らにだけ見せときなよ」

そう言ったとたん、灯真はむくれた。
ニヤニヤ。あーヤバイ顔が緩んで戻らない

「灯真ー!何で先行っちゃうんだよー!」
「ゲッ」

来たよー!ほら、あのモッサリしてるのが王道な転校生
え?何で王道とか知ってるのかって?
僕は腐男子じゃないけど、腐ってる友達にいらない知識を植え付けられてるから…かな?
ま、細かいことは気にしないで

「灯真!なぁ、俺のこと…嫌いなのか?」

あーぁ、そんな聞き方したら灯真は否定できないじゃんー

「い、いや…そういうわけじゃないけど…」

ほらねー?
こんな感じで断れない灯真だから、余計に巻き込まれてるんだろうけど

「じゃあ、生徒会の奴らか?灯真が嫌いなら…友達だから仲良くしたいけど、なるべく関わらないようにする」

しょぼんと寂しそうに言う転校生に

「いや、別にお前は普段通りにしてたらいいから…」

って、ちょっと灯真ー
それだと灯真は救われないよー
と思いながら黙ってやりとりを見てる

でもこのやりとりも既に片手で数えられないくらいやっている。

うん。そろそろ飽きて来たよね

「柾志!」

あ、今度は生徒会の皆様と風紀委員の皆様…風紀委員の書記は除いてだけど、勢揃い。
書記は今頃お仕事中かな?

いやー…凄いよねー
一般クラスにこれだけキラキラした人が入ったら圧巻だよ。
ほら、クラスメートなんてポカンとしてるか嫉妬に燃えてるかのどちらかだし

「柾志、急に帰るなんてどうしたんだよ」
「行くぞ」
「「そーそー、お菓子食べよー」」
生徒会会計、会長、書記…の双子が上から順に言う。
そんなに転校生ラブですかー?

「灯真くん、君は来なくていいですからね」

副会長は腹黒い笑顔で灯真を牽制。
必死に頷き返す灯真。いつもこんな感じなんだろうなー

それにしても…灯真胃を押さえてるけど大丈夫かなー?
倒れそうだな…

灯真に注目してる間に風紀委員も参戦して転校生の取り合いになっている。

凄く騒がしいし、収集つかないし、仕方ないな…
ため息をつきながら片手で携帯を弄る

真横で乱闘を起こしてるのに我関せず…な俺はまわりからどう見られてるんだろうねー

にやりと笑う

送信完了。後は…何とかしてくれる。

『ッー…おい馬鹿共!』
少しの雑音の後、校内に怒声が響き渡った
キーンと高い音がまだ残っている

『今すぐ帰って来て仕事しねぇと、てめぇらの恥ずかしい写真ばら撒いてやるからな!』

そう言って放送は切れたが、生徒会、風紀委員は写真に心あたりがあるのか慌てて教室から出て行った。
しっかり転校生を引きずって。

因みに、今の放送の奴は風紀委員の書記であり幼なじみ。
先程メールで何とかしてとお願いしたんだけど、まさか放送とはねぇ…
しかも、写真なんて俺があげたやつだろう。

全て知っているだけにニコニコ…いや、ニヤニヤが止まらない
ふふふ…どんな内容の写真かはさすがに可哀相だから言えないけどねー。


多分、今俺はニヤけた笑顔で生徒会達が出て行った後扉を見ているだろう。


そんな俺に

「幾兎」

と、灯真が柔らかい笑顔を向けてくる
一瞬キョトンとしたけど、灯真の微笑みはとても綺麗で

「なぁに?」

と、微笑み返した


End..






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