[01] プロローグ
「チッ!ココも駄目か!」

手を打ち付けられたキーボードがガシャンと派手な音を立てた

「こないだは北海道、その前はアメリカ、そして次の場所にと抑えようとしていた場所は既に手を回されて使用不可」

はぁー…とため息をつきながら頭を抱えてみるが状況が変わるわけではない

「最近居場所を突き止められるまでの日数も短くなってるし、こっちの情報は筒抜けなんだろうな…」

あちこちを転々と移動しているのは全てあいつから逃げるため

それなのに、あいつはこちらのことは全てお見通しだと言わんばかりに先回りしてくる

何としても逃げ通したいというのに、あいつはいつでも俺を捕まえることができるくせに、気まぐれで放しているにすぎないのだろう。

それが分かるだけに憎たらしい

「ココを出て次を探すか…ギリギリまでココで過ごすか…」

どちらにせよいい状況ではない。

「あの時、あの依頼さえ受けていなければ…」

後悔せずにはいられない。

全ては1つの依頼から始まったのだ


(2009.09.27)



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