[15]

昼過ぎ、迎えに来た高林先生と一緒に車に乗りドライブに出かける
「高林先生今からどこいくの?」
そう運転している高林先生に尋ねると
「美希也が俺のこと名前で呼んだら教えてあげる」
といわれた
そういえば学校ではなく外で二人きりで会うときは名前で呼ぶように言われていたっけ
「聡・・・広、さんどこにいくの?」
ちょっと恥ずかしくたどたどしかったがちゃんと名前で呼んで聞いた
「恋人になったんだから『さん』もいらないって言っただろ?」
「あぅ・・・と、年上なんだからいいじゃん?」
「俺が名前を呼び捨てで呼んでもらいたいんだよ。ダメ?」
そうねだられると嫌だとは言い難い
「さ・・・聡広」
「何?」
多分今俺は顔も耳も真っ赤だと思う
「ど、どこいくの?」
恥ずかしくて顔を上げられないけれど再度同じ質問をした
「今日はベタなデートコースにしてみたよ。まずは森林公園。今日は天気もいいしもっと早い時間だったらピクニックのようにお弁当を持って行ってもよかったけど、この時間だし夕食前の散歩ってことで」
「森林公園かぁ、この辺じゃ有名なデートスポットだよね。俺は行ったことないから楽しみだけどどういう所なの?」
「それはついてからのお楽しみ」
それ以上、公園については教えてくれなかった



公園では多くのカップルや家族連れで賑わっていた
思ったよりも広い公園で第一エリアから第六エリアまであるようだ。
この広さなら朝から来てピクニックでも確かに楽しめそう
「とりあえず、適当に歩こうか」
聡広がそう提案したので頷いてついていく
木が多く、マイナスイオンの効果か凄く気持ちが良い
「こんなところがあったんだねー。なんか田舎を思い出すなー」
ちょっと前まで住んでいた所には自然が多く、家の裏には山が広がっていたのでこんな自然は当たり前だったけれどこっちに来てからはとても懐かしく感じる
「美希也の住んでた所は自然が多かったんだな」
「うん。近所に河川敷も山もあったし本当に田舎だよ」
笑ってそういうと
「いつか俺も行ってみたいな。そんな自然に恵まれてて、美希也が育った場所に」
なんて言うので少し嬉しく思った
「いつかね。何もないけど、自然は本当に凄いよ!この公園以上に空気は綺麗」
この空気の汚れた都会より呼吸はしやすいはずだ
そんな話をしながら公園を散歩する
懐かしい木と土の匂いに田舎を思い出しながら聡広と一緒に歩いてまわるのはとても楽しかった。
結局第一エリアから第三エリアまでを歩き段々陽も沈んできたので今日は帰ることにした
「次は朝からお弁当でも持って全エリア制覇を目指して来ような」
と聡広が言うので
「約束だよ」
と指切りする
いつかまた来るときは朝からピクニック。それが来週のデートになるか一ヶ月以上先のデートになるかは分からないけれど約束。
きっと田舎に行くよりかは早く果たせそうな約束だ




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