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この後は聡広の家に行き夕飯をご馳走になる予定
「聡広、スーパーとか寄らなかったけどいいの?」
もう聡広の自宅についてしまったので今更な質問だろうけど疑問に思ったので聞いてみる
「大丈夫。昨日買ってきてあるから」
といわれたのできっと材料があるのだろうと納得し、初めて入る聡広の家にちょっとドキドキしながら後に続いて入る
「お邪魔しますー」
部屋に入ると思いのほか片付いている。と、いうより生活に必要な最低限の物しか置いていない
2LDKで一人暮らしにしては広い部屋だ
「シンプルだね」
思わず感想を漏らす
自分の部屋もシンプルなので人のことは言えないがスッキリしている
「まぁな、物でごちゃごちゃするのが嫌いなんだよ。それより準備するから座って待ってろ」
ソファーを指してそういう聡広に
「何か手伝えることがあるなら手伝うよ」
と申し出る。しかし
「いいってもう下準備は終わってるしな。歩き疲れてるだろ?ちょっと休んでていいから」
そう言ってお茶を出されると素直に従うしかない
暫くお茶を飲んで寛いでいると、本当に下準備は終わっていたようですぐに夕食の準備が整った
「あ!ロールキャベツだ!」
「ん?嫌いだった?」
「うんん、嫌いじゃないよ」
特別好きでもなければ食べられないほど嫌いなわけじゃない。
今日のメニューはパンとロールキャベツとサラダとミニグラタン
ある意味フルコース並みの食卓に感嘆の声を上げる
「凄いご馳走だー!」
「美希也が手料理が食べたいと言ってたからね。ちょっと頑張ってみました」
クスクス笑ってそういう聡広にメニューに悩んだりもしたのかな?なんて思った
「ありがとう!食べていい?」
「うん。どうぞ」
返事を聞いてから手を合わせ「いただきます!」と言った
聡広も後に続き手を合わせてから一緒に食べ始める



聡広の作ったロールキャベツはとても美味しかった



夕食後普段は人目もあるし恥ずかしいので聡広にくっつくことはしないが、折角二人きりなのだからとソファーで一緒にTVを見ている聡広の腕に自分の腕を絡めてすり寄った
「美希也?どうかした?」
滅多にこんなことはしないから驚いたのだろう
「別に?聡広こそ、どうかした?」
と、とぼけて返す。"付き合っている"のだからコレくらいしてもいいと思ったんだけど、嫌だったのかな?
「いや、なんでもない。普段は腕組んだりすると嫌がるからそういうのは嫌いなのかと思ってたから驚いただけだよ」
「学校も外も人の目があるじゃない。嫌なだけ。不躾な視線が」
別に自分がそういう目で見られるのは良い。仕事でだけど、外で腕を組んで歩いたこともある。
けど、聡広にもそういう視線が向けられるのが嫌だった
振り解かれなかったのでそのまま寄り添って一緒にTVを見る
今見ているのはクイズ番組でタレント達が必死に問題を解いている
ぼんやりと眺めているといつの間にか眠ってしまっていた




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