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放課後いつものように図書館に向かう
しかし、足取りは重かった
今日も楓は居るのだろうか?
少し不安になりながらも図書館に到着してしまう
自習室はこの図書館の奥にある
そっと自習室へと近づき中が見える辺りから様子を窺う
嫌な予感は当たるものらしい。今日も楓が聡広の隣に居た。
はぁ・・・とため息をついてそっとその場を離れる



ズルイよね・・・昔からの知り合いだったなんて…
今まで全く接触もしていなかったくせに。突然出てきて聡広の隣をキープしているなんて・・・



悶々と考える
まさか自分がこんな風に嫉妬するなんて今まで思いもしなかった。
でも、自分を好きだと言い、恋人になった相手がこんな風に違う相手に優しくして笑っているところを見るとやっぱり我慢できなかった


どうしようかな・・・
今日はもう帰ってしまおうか・・・


彼らと居たくない一心でそんな考えがよぎってしまう
とりあえず昨日借りた本を返却するために入り口付近の受付へと向かう
そこで司書の彩に会った



「こんにちは。美希也くん。今日も貸し出し?」
本棚の方から本を持って近づいたせいでそう思ったのだろう
貸し出しという言葉を否定して
「返却です。コレ、お願いします」
そう言って昨日借りた本を渡した
彩は素早く事務的な作業を終わらせ貸し出しカードを渡してくれた
「はい、カードは学年のホルダーに戻しておいてね」
「わかりました」
言われたとおりカードを戻す
「そうだ、美希也くんちょっといい?」
と言うと昨日のように彩は図書資料室へと入っていく
今日は何を持ってくる気だろう?と思っていると手招きされるどうやら入って来いと言う事みたいだ
不思議に思いながら図書資料室へと入る



「美希也?」
まさか、この場面を見ている人がいたとは知らずに・・・




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