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後って放課後でよかったのかな
とか
何の用なんだろう?
とか考えながら図書館への階段を上る
大体、閉める瞬間に言うのは卑怯だよね。
気づいた時にはもう閉まってたんだもん
わざわざ開けて聞く勇気も無かった

そんなわけで、悶々としながら図書館に入る
軽く周りを見て聡広を探したが、図書館には誰も居ない
「彩先生もいないのか・・・」
静かな図書館に一人
ただ突っ立ているわけにもいかないので、適当に本を選んで入り口付近のソファーに腰掛けた
本を半分くらい読んだ頃、ようやく誰かが来た
「浅木君!今日は図書館に来てたんだ」
彩先生の声だ。どこかに行っていて帰ってきたのかと本から視線を上げて確認しようとして彩より先に聡広の姿が目に入った
「高林先生?」
一緒だったんだ・・・と思うと同時にそっちが呼んだくせに!とイラ立つ
「彩先生、コレ借りて帰ります」
スッと読んでいた本を彩に渡し貸し出しカードを探す
「あ、待ってたのね。ごめんね、待たせちゃって」
「いえ」
探し出したカードを渡し貸し出し処理が終わった本を持って図書館から出た
その後を聡広がついてくる
「用って何だったんですか?」
少し歩いた場所で立ち止まりそう問いかけた
「あー・・・その、だな・・・」
「用が無いなら俺はこれで」
失礼しますと一礼して階段を駆け下りた
最低な態度だったと思う
けれど、それ以上にモヤモヤした気持ちをアレ以上抑えられる勇気も無かった

きっと更に嫌いになったよね・・・と軽く落ち込みながら誰も居ない教室で帰る仕度をしているとガラッと大きな音を立てて扉が開く
「美希也!」
まさか追い掛けて来るとは思わず、呼ばれた声に慌てて振り返った



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