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色んな意味を含めた追試試験
結果はすぐに出た
全て80点以上。まず第一関門は突破だ


「高林先生!」
ガラッと講師室の扉を勢いよく開けた
室内に居た先生達の視線を一斉に浴びたけれどそれよりも真っ先に高林に会いたかった
「見て!合格点!」
ついさっき戻ってきたばかりのテストを見せる
「本当に全部80点以上だな・・・頑張ったじゃないか」
「まぁねー?先生が約束してくれたからかな」
にこりと微笑んでそう言った
事実だしね。
「はいはい。ちゃんと覚えてるよ」
「約束だからね!」
しつこく念を押す
「わかってるって」
さすがに少し苦笑いをしている聡広を見て、少しやりすぎたかな?と軽く落ち込んだ


「浅木がこんなにいい点数取ると思ったら高林先生が何か言ったんですね」
俺達の間に近くに座っている生物の先生がそう話に入ってきた
「そうじゃなくても生物なら大丈夫でしたよ」
「どうだか。こないだの小テストで君は危ないんじゃないかとヒヤヒヤしてたんだからね」
それを出されると黙るしかない
あの小テストはかなりマズイ点数だった
「生物や英語は頑張ったみたいだけど数学がねぇー・・・せめてもう少し良かったら・・・」
隣に座っている数学の先生も小言を言う
「あー・・・あれは、本当にすみません」
今回の数学は散々な点数だ
きっと採点しながら悲しい気分だっただろうと想像できるだけに後ろめたい
「じゃ、じゃあ俺はこれで失礼します!」
これ以上小言を並べられると困るとばかりに講師室から逃げることにした
扉を閉める瞬間
「浅木!後で図書館に来なさい」
と、聡広に言われた



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