[59]
久しぶりのデート
とても楽しかったし、嬉しかったけれど
怖かった
聡広は俺と一緒に居て楽しいのかな?とか、俺は今笑えてる?とか
そう思うと引き攣った笑顔しか向けれていない気がして
折角の二人きりだというのに・・・
後に残ったのは自己嫌悪ばかり

「本当、お前らしくないよなぁ」
「分かってるよ!本当に、不本意だけど・・・」
学校の昼休み
いつものようにご飯を食べ、昨日の話を圭介に話すと圭介は呆れたような顔で先ほどの感想を述べた
自分らしくないのなんて最初からだ
こんなに気弱な自分は自分らしくない
けれど、自分らしく振舞って嫌われたら・・・と思うとなかなか行動できない
臆病なのだ
「もう、いい加減にその意地を棄てればいいだろ?それで嫌うようなやつならそれくらいの価値しかないってことだって」
圭介はそう言うが、本当にそこで終わってしまったらと思うと怖かった
「自分がそれくらいの価値だと思われるのも嫌」
もうアレもコレも全てが気に入らない
自分にも腹が立つし、聡広にも腹が立つ
「どうしようもないな」
はぁーとため息をつき両手を軽く持ち上げ「やれやれ」という仕種をして、その持ち上げた手をそのまま俺の頭に持ってきてガシッとつかむ
「いつまでそうやってるつもりだ?」
「・・・」
圭介が言いたいことは分かる
「こないだからずっと同じことの繰り返しじゃないか」
「・・・そうだね」
期待して、そして、一歩踏み出せず自分の中で考えて、考えて・・・
「踏み出さないと・・・いつまでもこのままだよね」
俺は聡広とどうしたいのだろう?
・・・なんてね。
もう考えても遅い。最後の賭けを始めてしまったのだから
「うん。ちょっとは期待してみようかな」
「おーおー、頑張れ。無理だけはするなよ。俺が心配だからな」
「ありがとう。圭介」
少し気持ちが上向き笑顔を見せた俺に柔らかい微笑みを向けてくれた



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