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どんな結果になったって、圭介は心配してくれる
頼りすぎだなって思うけど、いつも本当に感謝してるんだ。

だから、また圭介に頼ってしまうことが目に見えているけれど、もう逃げないよ
ハッキリさせよう。
でも、ごめんね。臆病だからハッキリ聞くことなんかできない
だから、聡広の行動に賭けをしたんだ

今回の追試での聡広との約束
"80点以上ならお祭りデート"
もし、聡広と『デート』できたら、自分らしい振る舞いも含めてもっと近寄れるように努力する
だって、期待してもいいってことでしょう?
多少の自分の醜い部分を出しても何とかなる気がするから、だから頑張ってみようと思う

もし、聡広と『デート』ができなかった場合は、別れる
ハッキリと別れを告げてやる。
逃げることと一緒だと思うけど、もう無理。
頑張ってみようとか気合が入らない

「ねぇ、圭介。もうすぐ夏休みだね」
「あと数日だな。まぁ、無いとは思うけど、羽目外すなよ?」
「なにそれー!圭介、先生みたい」
あははっと笑う
でも、圭介はきっと分かっているんだ
俺が何をしようとしているのか
「何かあったら真っ先に圭介のところに行くから大丈夫」
1人じゃない。心配してくれる親友が居るから
もう、大丈夫
「何かあったら・・・な」
「何も無くても行くけどね。だって、暇じゃない。夏休み」
1人で過ごすなんて退屈だし、寂しいって知ってるから
「それに、心配性な保護者がいるからね」
ニヤリと笑いかけると
「お前なぁ・・・心配掛けさせるようなことをお前がしてるって自覚してるか?」
「してませーん」
ふざけて笑う
バカみたいにはしゃいで騒いでいるとキィッと音を立てて屋上の扉が開いた
「お前らなぁ・・・」
「「げっ」」
入ってきた教師の姿を目に入れて圭介と同時にその場に固まる
あーぁ、今月2回目だ
「もう昼休みが終わったって分かってるよな?」
「「知りませんでしたー」」
すみません。マジで気づいてなかったです
その場で平謝りする俺らに呆れたため息をついて担任が
「まったく、後はHRだけだって言うのに。ほらHR始めるからとっとと行くぞ」
「「はぁーい」」
前を歩く担任、そして俺達を挟んで後ろを歩く副担任の聡広

聡広は俺と圭介が仲が良いことに何か感じたりしてるのだろうか
俺が、聡広と楓が仲が良さそうにしていると嫉妬するように、聡広も嫉妬してる?

チラッと後を伺いすぐに視線を戻す
いつか、聞けたら聞いてみたいな。



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