[03]


俺は『情報屋』と名乗っているけれど、情報屋の中では『探偵』と変わらない扱いをされていた

依頼される内容がくだらない探偵レベルの物ばかりだというのもある

しかし、俺自身まだ経験の浅い情報屋だから探偵と言われても仕方ないと思う反面、それでいいとも思っていた

闇社会、いわゆるアングラ系の情報屋は棄てるほど沢山いる

そんな奴らはプライドも技術力も高いのはよく知っている

だからこそ、そんな奴らにはまだ叶わないとも自負している

しかし、表面的に見える一般よりの情報屋は少ない

プライドの高い奴らはそんなちっぽけな依頼で満足しないからだ

だからこそ、リスクが高い闇で生きるのだろう

俺には理解はできなかった


「んーと、今日は50件か。多いな」

毎日のメールチェック

最近これがうざったく感じている

しかし、見ないと仕事にならないので仕方なく振り分ける

「何か簡単に分けられるメールチェックツールでも作るかなぁ」

カチカチと仕分けながら要る物、要らない物と振り分ける

「でも気分でやりたい仕事は変わるからやっぱりツールなんて作っても意味がねぇよなぁー…って、爆弾の作り方はマズイだろ」

そんなくだらないメールは削除っと

知りたきゃ自分で勉強しろよな

「お、お礼メールが入ってる」

最近では珍しくなくなったが、初めて来た時には凄く驚いた

この礼儀がない時代に律儀にもお礼メールをくれるとは…と。

「警察か。こないだの金庫はやっぱ泥棒だったのか」

事件が解決できたのはよかったねー

まぁ、俺も警察の信頼を得られてるから泥棒サマサマだけど

「あ?追加依頼?」

件名を見て首を傾げる

今まで無かったけれど、まぁ、何回も仕事を頼む人も珍しくはないか

「こないだの企業の情報について調べた依頼主からか。確かソフトComって企業の情報を調べたんだっけ?今回もその企業についての追加情報…か」

企業についての情報はリスクも高いのでそれなりの額が取れる仕事だ

「うーん。今回はパスだな」

気分じゃない。

うん。それだけだ


やってもいいと思うか、思わないか。

それが俺の判断基準。だって、本職はひきこもりだもん


(拍手掲載日:2009.10.08)



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