[04]


毎週木曜日午前11時

決まってやることが1つある

それは"ゴミ捨てと買出し"だ。


ITが発達したこの世の中で本職「引きこもり」と言っているヤツが何故外へ出るかって?

それは、健康維持のためだ

別に吸血鬼が十字架などを怖がるように、外が怖いというわけではないので俺は気にせず外へと出る

今では、あの時そんな矛盾したことをせずに完全にひきこもっておけばよかったのに。と一番後悔していることでもあった

この日外へ出なければ、俺は全く違う人生を送ることができただろう

全て「たら、れば」の話だけれど



この日は天気がよく散歩には丁度良い気温の日だった

気を良くした俺は少し歩こうと近所の公園を通り少し遠回りしながらいつも行くスーパーへと向かう

ベビーカーを押し子供連れで公園に遊びに来ている人たちや元気に遊びまわる小さな子供を見て癒されながら少し引き返すために住宅街の路地を曲がった

「熊谷颯太だな」

「うわっ!」

角を曲がると目の前にスーツを着た男が二人行く手を阻み、俺の名前を確認してきた

確かに俺は熊谷颯太だけれど、この人たちに見覚えはない。

「ちょっと一緒に来てもらえないかな?依頼したいことがあるんだよね」

さっき俺の名前を尋ねた方ではない方がそう言って来た

一見人当たりよく優しそうに見える人だ

「申し訳ないですけど、何のことだか?今急いでるんで通してもらえませんか?」

こういうヤツには関わらないほうがいい。そう判断して逃げる体制に入る

が、そう簡単にいくわけがない

「そう?でも、俺達は君に用があるんだ」

彼がそう言うが早いか、後ろから羽交い絞めされるのが早いかは分からなかったが、俺は目の前に居る奴らだけに気を取られ背後から近づいていた奴らに気づくことができなかった

「一緒に来てもらうよ」

鼻と口を何かで押さえられ、意識が朦朧とする中、その言葉と息苦しいという感覚だけが記憶へと刻み込まれた



(拍手掲載日:2009.11.03)



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