[05]


次に目が覚めた時にはどこかの部屋のソファーの上だった

「ん…?」

どこかの事務所や応接室のような場所だ

体を起こして辺りを見渡してみたが特に手がかりになりそうな物は何もない

「俺は…」

仕方なく記憶を思い起こす

何をしていたのか。

いつもと変わらず家を出て、天気がよかったから公園まで少し足を伸ばした

それから…

「あっ」

知らない奴らに拉致されたんだ

軽く頭を押さえる

まったく。面倒なことになったな…

ふと人の気配を感じて顔を上げると俺を拉致した奴らが隣の部屋との入り口に立っていた

「起きてたんだね」

スーツを着た優しそうな人がそう声を掛けながら近づいて来る

他の奴らは部屋から出て行ったり、隣の部屋へ行ったりとこの部屋からはいなくなってしまった



「さて、今お茶を用意させてるから少し待ってね」

にこりと微笑みながらそいつは俺の向かい側のソファに腰掛ける

「あんなことまでして俺を連れてきて…何の用ですか?」

お茶の用意など待つ気はないので単刀直入にそう言うと、相手は少し困ったように笑って

「せっかちだね。もう少ししたらお茶が来るから、それまで待とう」

と、話を始める様子はない

仕方なくお茶が来るのを待つ間に向かいに座った奴を観察した

年は大体25歳から30歳までくらいだろう。

スーツをキチンと着こなし、できる社員という感じだ

「お待たせ致しました」

隣の部屋へ行った人がお茶を持って戻ってきた

そして、俺達の前にカップを置いて部屋から出て行ってしまう


(拍手掲載日:2009.11.03)



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