[32]

「美希也ー!朝だよ!!起きないと遅刻だよー!」
ドンドンと扉を叩く音とドアノブをガチャガチャと回す音が聞こえる
「んー?」
時計を見ると8時だった
「8時?!」
ヤバイ!遅刻だ
「美希也ー?」
まだドンドンと扉を叩いている楓に
「起きた!今日は遅刻していくから放っておいて!楓は先に学校に行ってよ」
と声を掛ける
どう頑張ってもHRが始まる8時半には間に合いそうに無いのでそう言いバタバタと学校に行く準備を始める
制服を着て鞄に教科書を詰め込む
よし、忘れ物はない!
バタバタと部屋を出て階段を駆け下りると楓が居た
「おはよう。遅いよー!起こそうと思って部屋に行ったら鍵が掛かってるし全く反応しないしー!」
「ごめん!って、何でいるの?」
朝から小言を貰い咄嗟に謝ってから、先に行くように言ったはずなのに
「何でって、置いていったら美希也が遅刻しちゃうでしょう?今日は高林先生が学校まで連れて行ってくれることになったから待ってたの!ほら、行くよ」
グイッと腕を引かれて玄関まで連れて行かれる
「あ、美希也待って!コレ学校着いたら食べなさい」
頼子がタッパーを渡してくる
中味はサンドウィッチだった
「ありがとう!行ってきます」
今は色々言っている時間が惜しいのでタッパーを受け取り楓と一緒に家を出た
家の前には聡広が車で待機していたようでそのまま後部座席に乗り込み学校に向かう



「本当に美希也が下りてこなかった時はどうしたんだろう?って心配だったんだよー!あのまま寝てたら完璧遅刻だったし!」
車に乗ってから暫くは楓の小言が続いた
「ごめんってば!昨日の夜寝るのが遅くて起きれなかっただけだし、次から気をつけるから」
結局昨日は寝付けなくて夜中の3時まで勉強を続けていた
その効果のおかげか、理科は一応理解できた気がする
「本当に気をつけてよー!今日はたまたま高林先生が居たから良かったけど、毎日学校はあるんだからね!」
「分かってるってば!」
こちらとしては何故聡広がたまたま居たのかが不思議だった
しかし、それを聞く前に学校に到着してしまう
「先生、ありがとうございました!」
あと5分でHRが始まる時間だ
慌ててお礼を言って楓と走って教室まで向かった




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