コンビニでアイスとペットボトルとお菓子を買い外に出たところで
「ミキ!!」
と叫びながらでかい塊に飛びつかれた
不意打ちと言うこともあり、その塊を受け止めきれずに尻餅をつく
「いったー・・・」
「ごっめーん。大丈夫?」
「タキ。お前わざとだろう?」
軽く睨みながら自分の上に乗っかったままだったタキを降ろして立ち上がる
彼は村田紀雅。通称タキは繁華裏での遊び仲間であり同業者であった。
つまり同じ『売り』側の人間だ
「それにしても珍しくない?こんなところで会うなんて。運命じゃない?ねぇ、ミキ今から遊ぼうよ」
「珍しくないし運命でもないし遊ばない。相手いねぇの?」
「いない。今日は普通にご飯食べただけだから。ねぇ、どうせ暇でしょうー?一緒に遊ぼうよ」
「遊ばないって。ほら、邪魔」
コンビニの入り口でこんな話をしていたら他の客にも店にも迷惑が掛かる
「美希也?」
状況を把握できずに傍観していた楓が控えめに声を掛けてきた
「え?ミキ・・・その人誰?」
「双子の兄弟。そういうわけで今日は遊べないの。分かった?タキ」
「あ・・・うん。家族と一緒だったんだ。ごめんね、邪魔して」
あっさりと引き下がるタキに手を振った
「また近いうちに連絡するよ。タキと最近遊んでないし。ただし、普通にな?じゃないと圭介にまた怒られるから」
「あははっ。相変わらず、圭介は保護者だよねー。分かった。待ち合わせはいつものカフェでね」
いつものカフェ=マスターのお店だ
「了解。それじゃあまたな」
タキと分かれて、来た道を楓と帰る
「アイス溶けちゃうかもな・・・ごめんな、ちょっと長く話しちゃって」
そう楓に謝ると
「別に構わないよ。それより、あのタキって子うちの学校の生徒じゃないよね?」
「ん?あぁ、あいつは隣の公立高校に通ってたはず・・・」
「へぇ・・・友達なんだ」
「それじゃあ何か悪い?」
「・・・悪くないけど・・・なんか意外だった。美希也が沢田以外と親しくしてる人って見たことなかったから。あの人も沢田の紹介か何か?」
「・・・そんなもんかな?」
説明するのも面倒でそうごまかしてしまった
実際は全く違う
当時の繁華裏のNo.1で何かと有名だったタキとたまたま仕事で一緒になり、少し話をするようになったのがきっかけの一つだ。
今ではそのタキの居た場所に自分が居る。そのうち誰かにこの座を持っていかれるんだろうけど、その誰かともタキのように親しく接するようになるんだろうか?
そんなことを考えてしまった。
まぁ、その時にならないとどうなるかなんて分からないけれど