[12]

「『楽園』のヤツを見つけたらどうするの?」
パフェを食べることを再開しながら尋ねた
「捕まえて相手に差し出してもいいし、追い払うのを手伝ってやってもいい。全ては『楽園』の奴らがどういう奴らなのかを見てから…って思って」
「ふーん」
「ミキは『楽園』と知り合いなんだろ?どんな奴らなんだ?」
「ん?あれ?アズマ、会ったことないの?『楽園』と」
今更だが、アズマは『楽園』がどういう奴らなのか知らなかったようだ
「あぁ、事件発生時に駆けつける不良っていう噂だけだな」
なるほど、今までヤバイ事件に巻き込まれたことがないということか。
それはかなり羨ましいことだ。
きっと、裏側で『ウリ』をしている奴らの多くは何かしらの事件に巻き込まれたりなどして『楽園』のお世話になっているはずだから
「まぁ、その噂どおりだよ。かなり大きな喧嘩があったらそれとなく周りを固めてヤバそうなら介入する。俺達の仕事にだって、事件になりそうなことがあったら躊躇い無く邪魔してくるし」
「何だそれ。警察みたいな奴らだな」
「うん…。警察も放り出した裏側でそれなりに行動する俺みたいなのにとっては、彼らは間違いなく警察だと思うよ。かなり助けてもらってるし」
「お前も何か巻き込まれたことあるのか?!」
驚いたようにこちらを見るアズマに苦笑を返し
「うん。それなりには…危ない客も多いし、不良に絡まれることもあるしね」
「確かに…あるな。まぁ、そうか。俺の場合変な奴らなら逆に騙したり、不良ならさっさと倒してるし」
…うん。アズマは強そうだ。
だからこそ、『楽園』も助ける必要がなかったのだろう
「何だ。不良集団っていうからテッキリこの街で暴れてるバカかと思ったのに、偽善集団か」
「そうだね・・・どうするの?『楽園』のメンバーを見つけたら、相手に渡して裏側の平和を保つ?」
「…そいつらの話次第だな。差し出さない条件はこの街のツートップを守ること。勿論、俺とお前な」
ツートップに何故自分が入るのだろう?とスプーンを銜えたまま軽く首を傾げて考える
「おい、そこでハテナを浮かべるな。当然俺とお前になるに決まってるだろ?俺達はそれぞれトップなんだから」
「何で?多分俺はもうトップからは落ちてるはずなんだけど」
言いたいことは分かるが、そんな簡単に残れるような場所ではない
「残念だけど、相手はお前がトップだと思ってるんだよ。そして、大体の者もな。お前は噂になりすぎた」
想像以上に噂が広がっているということか。
「まぁ、俺は『楽園』なんてのに期待はしてねぇし、自分で何とかするつもりでいるけど、お前はそこまで強くないだろ?それに、ココに居る以上、問題を持って来たそいつらに責任があるんだからしっかり守るのも当然だと思う」
確かに正論だが…今俺のこと「強くない」って言った?
そりゃ…強くは無いけど、俺だって男なんだけど?
それなりに、力はあるつもりなんだけど!!
「そういうわけで、『楽園』のヤツと連絡取れるんだろ?今すぐ呼べよ」
…どういうわけだよ。
内心で文句を言いながらも、きっとココで連絡を取らないとしつこく『楽園』との接点がある俺に付きまとうだろう。
『楽園』のメンバーを探して表にまで出てきていたのだ。
逃がすわけがない。
ため息をつきながら携帯を取り出し番号をプッシュ。
ケイは今日も家の用事があるらしいから駄目だし、トワは問題の張本人だから合わせたくない。
そんなわけで、あまり会わないけど、それなりに面識のあるヤツに頼ることにした。




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