[14]

『楽園』関係者ということで呼んだマコトだったが、携帯が鳴ったかと思うと慌てて店を飛び出して行ってしまった
「すみません!乱闘が発生したみたいなんで行きます!あ、ミキさんは来ないで下さいよ!危険なんで」
マコトは最後にバタバタと走りながらそう叫んで行った


「慌しいなぁ…それで、どうだった?」
アズマに彼と会った感想を尋ねた
「『楽園』が頼りない集団だということは分かった。けど、あいつらをどうこうしようとは思わない。…そんな感じだな」
「頼りないかぁ…まぁ、さっきの話だけじゃそう思うよね」
ぱくりとスプーンを銜えて数回頷く
「まぁ、『楽園』を捕まえて突き出すなんて言われなくてよかった。あいつらはあいつらなりに頑張ってるから、それだけは認めてくれたってことだよね?」
「…まぁ、な」
「ありがとー。それより、あいつらは今ほかの事で手一杯ってことは、俺達は俺達で身を守らないといけないね」
「そうだな。俺達のようなヤツには力が無い奴らが多いから…何とかしないといけないな」
「そうだねー。本気で生活や命掛けて仕事してるヤツもいるから暫く何もするななんて言えないし…守らないとね」
「一番危険なのはお前なんだけどな」
ぽつりと最後に言ったアズマの声は小さくて少し聞き取り難かったが聞いてしまった
聞き返すべきか迷った末
「どうして、俺が一番危険なの?」
と、聞き返した
「一番有名だろ?それに、俺とお前はある意味裏のトップなんだよ。そんな奴らをほっとくわけがないだろ?」
「不良でトップなわけじゃないのに何で?アズマの言いたいことが分からないよ」
彼らの狙いは『楽園』と不良。
それなのに、俺達を狙うのは裏で活動している奴らもまとめて無作為に潰す…というならまだ分かる。
しかし、俺達トップが特に狙われるというのには繋がらない
「はぁ…俺達は金になるってことだよ」
アズマがため息をついて、不機嫌そうにそう言った。
そう言われてようやく分かった。
「利用価値があるってことか…だから、俺達は不良とは別に狙われる」
「あぁ、そいつらの近くか、ココでかは分からないが確実に捕まったら最後、やりたくもないことをやらされるだろうな」
「捕まりたくないなぁ…」
拉致・誘拐なんかされたくない。
「俺達は俺達で対策立てるか。俺とお前だからできることは結構あるはずだろ?」
アズマとミキの名前を使えば知名度もあるので注意を促すこともできる。
勿論、大っぴらに広げたくも無いのである連絡手段を使う
それができるのは自分達だけ…
そういうことだろう
「協力するよ。俺達は俺達で身を守ろう」
『楽園』にこれ以上の負荷をかけないために



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