[17]

暫くして到着した救急車に乗せられて病院へと輸送された。
しかし、俺はそれで解放されるわけが無く、そのまま事情聴取。
「で、どこでアイツを拾ったって?」
「だから、2つ向こうの裏路地だって言ってるでしょう?」
「何でそんな場所に居た?」
「その先にどんな店があるのか気になったから探検してみようと思ったんだって」
先ほどから同じ内容のやり取りしかしていない。
さすがに4回目となると辟易としてきた
「後で現場に連れて行って貰う事にしよう」
全くこちらの言うことを信じていない警官にイライラとしながら出されたコーヒーを飲んだ


「こんばんわー、今日もよろしくお願いします」
ガラッと交番に新たな来訪者が訪れた
「あぁ、こんばんわ。もうそんな時間でしたか。こちらこそ、よろしくお願いします」
「げっ」
挨拶を交わす警官に思わず出入り口を見て声を漏らす
本当、今日はついていない。
「美希也?」
俺に気付き、コチラに視線を向けてくるのは俺の学校の英語講師、高林聡広だ。
「先生、お知り合いですか?」
俺達の様子を見て警官が聡広にそう尋ねた
「え、あぁ、私の受け持っているクラスの子でして…」
「先生の学校の生徒さんでしたか…丁度良かったですね」
丁度良いとは、わざわざ呼び出される手間が省けて…ということだろうか?
「はぁ…それで、浅木が何かしましたか?」
「いえ、その子が何かしたわけじゃないんですけど、少し事件がありまして、その事情聴取中でして」
「事件…ですか」
「事情聴取って、そっちが聞く耳持たないから終わらないだけで、俺が知ってることはもう全部話したんですけどー」
もう解放してほしいという気持ちをこめてそう文句を言った
「まぁ、先生もお掛け下さい」
警官に促されて俺の隣に聡広が座る
そこで気付いたのか
「美希也、背中どうしたんだ?!怪我してるんじゃないか?」
べったりと血糊のついた背中を指差し慌てている
「高林先生、大丈夫ですよ。俺の血じゃないんで、とりあえず座って下さい」
うんざりとしながら落ち着くことを勧めた



← Back    NEXT →

ページ一覧】【一言】【TOP】【HOME

Copyright(C) Shino komanami.All Rights Reserved.