[18]

聡広が増えて、また1から何故あんな場所に居たのかなど根堀葉堀聞かれる。
コレでもう5・6回目だ
「それで、たまたま通り掛かったら、上からアイツが落ちてきた…ってわけだな?」
「そう何回も言ってるでしょー。もう俺知ってること全部話したから帰ってもいい?」
もうこれ以上付き合っていられないよ。交番に着てからもうかれこれ1時間は経過している
「後は、現場につれていってもらってその場でどういう状況だったのか教えて貰うだけだな」
警官の言葉にまだあるのか…と思わず机に突っ伏す。
もうイヤ。
警察ってこんなにぐだぐだしてたっけ?
「さ、行くぞ」
警官に促されて仕方なく裏路地へと案内することになった


「ココがその現場ですよ」
繁華街の一番賑やかな場所から裏へと繋がる一本の通路
建物と建物の間で人が1人通れるかどうかという感じの狭い道だ
「なるほど…たまたまココを通りかかった君がふと上を見て誰かが落ちてくることに気付き、受け止めたところそいつは怪我をしていたから交番に駆けつけた…ってことか」
「えぇ、もう、こんなに面倒なんだったらココで救急車呼べばよかったと後悔してますけどね」
怪我人を無闇に動かしたことも後悔している。
あの時は動転していた為無茶なことをしてしまったが、本来なら、その場所で動かさずに救急車を待つべきだった
「はぁ…分かりました。ありがとうございます。とりあえず今日はもう帰っていいですよ。必要があればまた連絡しますから」
警官のその言葉にようやっと帰れるのかと安堵のため息をついた
「はーい、それじゃあ、俺はこれで失礼します」
軽く礼をして繁華街への道へと進む
「それじゃあ、俺も浅木を送って行きますので失礼します」
…そう、後ろから聞きたくない言葉が聞こえた
「………」
思わずじとっと聡広を見てしまう
内心では「マジデ?うわー…嫌なんだけど。そんな面倒なことしないでよ」と散々文句を言う
「ほら、行くぞ」
軽く俺の肩を押して歩くことを促された
本当に一緒に帰るつもり?
どこで離れようかと散々悩んだが全く放してくれる様子もなく仕方なく歩いていると、聡広の車が停めてある駐車場まで来てしまった
「…高林先生?俺一人で帰れますけど。まだ見回りだってあるでしょう?」
「乗りなさい」
最後の抵抗とばかりに拒絶の言葉を出してみたが、拒絶は許さないとばかりに車の助手席のドアを開けて俺を車内へと押し込む
そして、自分も運転席へと乗り込みエンジンを掛けた
…聡広と最後に会ったのは夏休みが始まってすぐの水曜日。


俺と聡広が別れた日だ。




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