[34]

あと数歩進めば大通りへと抜ける
そんな場所で俺達は足を止めた
「ココから先が大通りだ。さぁ、行って」
「あ、もう二度とこっち側に来ないようにね。一度目はルールだから一般人として見逃すけど、二度目はココの住人と同じ扱いになるから、気をつけて」
迷い込んだ者に対しての『警告』
「美希也…」
色々と言いたいことがありそうな楓を聡広に押し付け
「本気で危ないからさっさと行って」
と軽く路地の出口へと押しやった
「嫌だっ!一緒に帰ろう!こんな場所に居るって分かってて置いてくわけがないだろ!」
「ばかっ」
俺は慌てて二人を見えない境界線の向こう側へと押しやった
「ミキの知り合い?」
アズマが俺の肩に腕を掛けて聞いてくる
折角一般人だと言っていたのに、俺の関係者だとバレてしまっただろう
「…はぁ、そう。家族」
「は?家族…?」
アズマが驚いたのか目を大きく開き楓を見た
「確かに…さっきは暗かったし、興味も無かったから気付かなかったけど、言われて見れば似てるな」
「まぁね。それより、俺は帰るつもりないから」
「何で?こんな危ない場所にわざわざ来なくてもいいだろ?そんなに家が嫌なのか?」
「だーかーら、ココには友達がいるからだって、何回も言ってるだろ?あ、でも。家が嫌いというのは当たってるかな?あまり家好きじゃないし」
居心地も悪いから外に出てしまうのかもしれない
「ま、家が好きじゃないなら仕方ないんじゃない?そういうわけで、諦めろよ。それより、ミキ。そろそろ行くぞ」
楓との間にアズマが入り、俺の肩に腕を掛けられた
「あ、うん」
どこに連れて行かれるのかは分からないが、行かなければ色々解決しないのならば行くしかない
「じゃあね、気をつけて帰ってね」
俺に向かって伸ばされた楓の手を避けて大通りを進む
どこからともなく出てきた不良達が俺達の周りを囲み異様な団体となっている
楓と聡広が追いかけてこようとしていたが、不良達の壁に阻まれ、気付けばいなくなっていた
「アズマ。このどんどん増えてる人達は?」
「護衛という名の監視役らしいな。俺達が逃げないようにだろう」
「…それ、本当に俺大丈夫なんだろうな?」
「大丈夫だって、ほら、気にせず行くぞ」
アズマに背中を叩かれて、少しムッとしながらアズマを見ると、アズマは笑っていなかった
その目は何か覚悟を決めたような真剣な目をしている
いったいこれから何があるのか。少しだけ不安になった



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