[38]

「警察だ!」
バンッと扉が大きな音を立てて開かれる
その物音で俺の目が覚めた
「ん?」
「美希也!」
顔を上げると見覚えのある顔が視界に入る
毎日鏡で見る…と、違う違う。楓の顔だ
「何でココに居るの?」
まだ寝ぼけているのだろうかと思いながら聞いてみる
「心配で…でも、警察も一緒だからもう大丈夫!」
「警察…?いや、まずいだろ」
『警察』というワードにようやく頭が回転し始める
周りを見ると、アズマと佐賀はもういないようだ
あの後、結局アズマが勝った。
佐賀が色々と文句を言ってひと騒動あったのだが、俺はその間に眠ってしまったのでそのあとのことは分からない。
「そっちの部屋に誰かいた?」
「え?あ、うん。でも、警察の人が来たら皆大人しくしてたし」
「そう…」
横になっていた体を起して、改めて室内を見る
ところどころ物が破損しているがそこまでひどくはない
ドアの付近には警官と高林先生がいた
「あ…先日はどうも」
「また君か。君とこの事件は深い関係がありそうだな」
「まぁ、あるような…ないような…という感じでしょうか。それより、『楽園』を見ましたか?」
「いいや、見ていない。あの中に居たのか?」
警官がそういうということは、彼の知り合いはあの中にいなかったのだろう
「俺はココに居たから外のことは分からなくて…とりあえず、ココから出ましょうか。いくらなんでも、警察がココに居るのはまずいですよ」
不良たちが帰ってきたら…
間違いなく、囲まれるだろう。
それが警官にも伝わったのだろう。頷き返され、部屋を出た
楓と高林先生が何故ココに居るのか…は、今は何も追求しないことにしておく。
どうせ、聞いたらややこしくなるに決まってる
一歩部屋を出ると異様な雰囲気だった
「ナニコレ」
倒れている人が大勢いる
ざっと見渡したが、知り合いの顔はない
あの部屋に入る前までこの部屋に居たはずの圭介やタキは今はココに居なかった。



← Back    NEXT →

ページ一覧】【一言】【TOP】【HOME

Copyright(C) Shino komanami.All Rights Reserved.