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警官達を追い出し、街を襲った不良たちとは俺達が居ない間に決着をつけたらしい『楽園』と、ゆっくり歩きながら街へと戻る最中
俺の左右には楓と高林先生が始終くっついてくる
このまま俺を家に連れ帰り事情説明してほしい様子だが、現在真夜中の3時を回ったあたりで今から帰ると家に多少迷惑となるのでどこに行くかを楓と高林先生は検討しているようだ
今現在出ている物では高林先生の自宅、近くのホテル、ファミレスがあがっている
「ミキ、これからどうする?事件解決の打ち上げでもいくー?それとも俺と遊ぶー?」
タキがにやにやしながら聞いてくるので軽くタキの頭を突き
「一番最初に行く場所があるからどっちもパスー」
と断った。その瞬間、タキのにやにや顔が一変し、ひきつった笑いに変わった
「あ、そっか。ミキは帰らないといけないか。心配してるだろうから、説教は覚悟しないとまずいだろうね」
「言わないで…気にしないようにしてたんだから…パパは心配性だからね。ほら、俺箱入り息子だから」
「箱入りだったら、こんな自由にさせてやってねぇよ。それとも門限作って家から出れねぇようにしてやろうか?息子よ」
急に背後から頭を掴まれた上、聞こえた声にビクリと肩を震わせる
「マ、マスター…何でここに?」
「ケイに場所を聞いたんだよ。わざわざ迎えにきてやった俺に何か言うことはねぇのか?」
「ありがとう、そしてごめんなさい」
怖すぎてマスターの顔を見れません
「それは俺の顔を見て言えないことか?」
「じゃあ、手を離して!痛い痛い!」
ギリギリと頭を鷲掴みにされたままの状態に頭皮が堪えている
「あぁ、そうだな。で…そういやドッペル見つかったのか?」
「あ、うん。それはすぐに解決したんだけど、そのあと色々あってねー。後でちゃんと全部話すから聞いてねー。コーヒーいれてくれると嬉しいな」
「お前がいれろ」
マスターの方を見ると頭めがけてチョップされた
手加減されてたから痛くはないけど、ちょっとショック
「あの、貴方は…美希也の何ですか?」
隣からマスターに問いかける声がして急にテンションが冷める
「楓には関係ないでしょう?俺の知り合い。それが何か関係あるの?」
冷たい声音になった自覚はあるけど、どうすることもできない
この人たちにマスターを会わせる予定がなかっただけに少しだけ苛立った
「何で来ちゃったの?マスター!」
「馬鹿を迎えに来ただけだろ?何が不満だ」
「全てにおいて。あー、もういい。帰ろう?マスター」
「あ?はいはい。お前を迎えに来たわけだしな。おい、ケイとタキ!お前らはどうするんだ?」
マスターがケイとタキに声を掛けたが二人とも
「今日はまだやることあるから…パス」
「いえ、今日は遠慮しときます。また明日うかがいますので、その馬鹿を部屋から出さないよう監禁でも軟禁でもしといてください」
と、店に行くことを拒否した。
てか、圭介!
「監禁・軟禁って何?!」
「明日の午前中は行かないといけない場所があるから、ミキにどっか行かれると困るだけ。別に、俺が呼んだらすぐに来れる場所にいてくれるならどこにいてもいいけど?」
「すみません。大人しくしておきます」
すぐに行ける場所と言ってもどこに呼び出されるかわからないのなら、どこかに出歩くのは得策ではない。それなら、確実に安全なマスターのところに居るほうが安心だし楽だ
「じゃあ、そういうわけで俺達もう行きますから。後はよろしくお願いしますね」
おやすみなさいと手を振って圭介とタキが離れて行く
「さて、それであんた達はどうするんだ?」
俺とマスター以外に残った楓と高林先生にマスターが尋ねた



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