[5]

「子供じゃないって言ってるのに!」
散々文句を言いながら繁華街の近くのスーパーに一緒に来ている
「そうは言ってもあの辺最近危ないんだって、ケイにもミキが一人なら一緒についててやってと頼まれてるしさぁ」
言うこと聞けと彼・・・不良・・・いや、トワが少し怒りながら俺の頭をつかんだ
「いーたーいぃー!もう、力強いんだから手加減してよ!」
パシッと軽く音を立てさせて手を払った
「俺だって皆が心配してくれてることくらい分かってるよ?でもね、俺だって男なんだからそれなりに対応できると思うんだ」
「それは思い込みだな。鍛えてもないヤツがそんな簡単に倒せるわけがないだろう」
キッパリと言い切られた
やっぱりそんなにひ弱そうに見えるんだろうか・・・
そんなこと無いと思うんだけどなぁ
「それより、さっさと買って出るぞ。周りの視線が痛い」
「あ、そうだね」
スーパーに男二人。
しかも一人はピアスがジャラジャラしてて髪も赤く、ワックスなどでツンツンに立たせている髪型であきらかに真昼のスーパーとは縁が無さそうなヤツだし主婦の皆様からの視線もかなり集まっている
紙に書かれている必要な物をカートに詰め込み、トワに半分袋を持ってもらってスーパーを出た


「あーつーいぃー!」
繁華街まで戻ってきたのはいいけれど暑さにへばってくる
「夏なんだから仕方がないだろ。それより、早く戻らないと肉がヤバイだろ」
「何で不良がそんなこと気を使ってるんだよ」
ぶつぶつ文句を言いながら、マスターの店まで戻ってきた
「ただいまぁー」
扉を開けるとチリンと聞き心地の良い鐘の音がして少し和む
夏なので少しでも涼むようにと今朝扉に風鈴をつけたので、コレはその風鈴の音色だった
「おかえり、何だ?友達も一緒か?」
「お邪魔します。ミキとケイの友達でトワと言います」
トワがマスターに軽く会釈して挨拶をする
本当に礼儀正しい。何でこんな場所に来ているのだか・・・
「トワ、手伝ってくれてありがとね」
一応手伝ってくれたのだからと思いお礼を言うと
「散々一人で行くって喚いてたくせに」
「ちょ、それは、トワが子供扱いしてたからだろ!」
「別に?俺はケイに頼まれただけで、お前のこと子供扱いなんてした覚え全くないぜ?」
確かに、勝手に子供扱いしたと喚いたのは俺だけどさ・・・そんなにハッキリと俺の空回りだって言わなくたっていいじゃんか。



← Back    NEXT →

ページ一覧】【一言】【TOP】【HOME

Copyright(C) Shino komanami.All Rights Reserved.