[6]

マスターはお使いから戻った俺とトワに冷たい麦茶を出してくれてから、夜の開店に向けて準備を始めた。
手伝おうと思ったけれど、麦茶一杯分だけ少し休憩。
「ケイの代わりに今日は俺が手伝おうか?」
トワが店を見渡しながらそう言うので
「いや、悪いしそこまでしてくれなくていいよ。トワだって、何か用があったんだろ?」
「俺達に特に予定が無いのはミキだって知ってるくせに」
まぁね。ココに居る大半の奴らは圭介や俺同様暇を持て余してる奴らばかりだ
「知ってるよー。でも、始終お前にからかわれるのが嫌なんだって察してよ」
むぅーっとストローを銜えて持ち上げる
「そういう所がガキっぽいんだろぉー?」
「ちっ、見た目不良の癖に」
「見た目がこんなだからって中身まで不良だとは限らないってーの」
「コイツ凄くむかつくー!!」
キャンキャンと喚いていると、カウンターの向こうから
「騒ぐな。お前が吠えると子犬が喚いてるみたいで微笑ましいが、煩い」
「子犬ってなんだーーー!!」
前からも横からもいじられて、少しいじける。
いいもん。黙ってるもん。だって二人とも虐めるんだもん。
「はいはい。俺が悪かった。ごめんな」
ふーん。慌てて機嫌取ろうったって知らないんだから。圭介にはしっかり言いつけてやる


「ねぇーマスター、今日の日替わりはなぁに?」
トワを無視してマスターに話しかけた
トワがため息ついてるけど気にしない。
「今日の日替わりは白身魚のポワレだ」
「今日も洋食かー」
「ココは一応喫茶店兼バーなんだけどな。つまみ料理がメインなのに和食を用意しても合わないだろ?」
「和食も食べたい」
コンセプトは分かっているが洋食ばかりは飽きてくる
たまに煮物も食べたくなるしね
「和食ねぇ・・・需要がありそうな酒が入ったら考えてやろう」
和食が合いそうな酒・・・日本酒系統の美味しい物が入荷したらってことか
「・・・分かった。何か手伝うことある?」
「今日はない。だから大人しくしてろよ。あ、昨日みたいに寝ててもいいがちゃんと開店までには起きろよ」
「・・・はーい」
何もすることはないようだ。



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