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夜になると常連客を含めた客が足を運ぶ
今夜は手伝うと粘ったトワと一緒に接客だ
外見はその辺で派手に喧嘩してそうな不良だが、根は真面目すぎるくらい真面目なので違和感はあるがきちんと接客をしている
本当に謎だ。
何でこんなヤツがこんな場所にいるのだろうかと…
きちんと聞いたことは無いけど、なんとなく理由は分かっている
「おーい、ミキ。サボってんじゃねぇよ」
ガシッと俺の肩をつかまれる
「ちょっとくらいイイじゃん。今日は優秀な働き手がいるから俺はお役ゴメンだってさー。ねぇ、皆さん?」
おどけてそう常連客に問いかける
「アハハ、けど、やっぱりミキの接客がいいな」
「そうそう、トワくんにばっかり接客させるのは可哀相だぜ?」
「結局はトワなんじゃん」
むぅーっと口を尖らせてトワに拗ねてます。とアピールする
「ちょ、それはいいがかりだろー?まーったく。ほら、もうちょっと頑張ったら何か奢ってやるから」
「ナニソレー!けど、アイスがいい」
ちゃっかり奢りの約束は取り付けて座っていたカウンターから離れる
あちこちから茶化す声が飛んでくる
「おーい、ミキ!注文ー」
「トワが気に入った人たちなんか知らないもーん。トワ、オーダー!俺は運ぶ」
ぷいっと顔を背けてカウンターに出された皿を運ぶ
今日はもうこのキャラで接客してやる。
なんて思いながら、客やトワと遊んでいる時にそれはやってきた。


「トワ!いるか?」
チリンチリンとベルの代わりにドアにつけた風鈴が可愛い音を立てる
しかし、ドアはバンッと派手な音を立てていた
「あ?どうかしたのか?」
走りこんで来たヤツが一目散にトワに詰め寄る
「お、お前!お前さぁ、っげほっ」
慌てすぎたのか、走ってきたせいかゲホゲホと咽てトワの肩をつかんで寄りかかるように崩れる
「どうしたんだよ?おい、大丈夫か?」
「はい、とりあえず水。そしてそのままカウンターへご案内ー。ほら、トワさっさと運んで。オーダーは俺が取るから」
「あ、あぁ…」
トワからオーダー用紙を奪い取り代わりに注文を聞いてカウンターに戻る
まだ落ち着いていないのか必死に呼吸をしていた
…何か死にそうなんだけど、本当に大丈夫か?こいつ



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