[8]

落ち着かせること数分
ようやく水を飲めるようになって、落ち着いたようで
「トワ、お前さ、その…ヤバイやつらに絡まれたことねぇか?」
「は?」
ようやく話せるようになったそいつの話はとんでもないことだった
俺は接客しながらだからまともに話は聞けなかったけど
聞いた話と推測を交えると恐らくこうだ。
トワは以前この街でも危険な奴らに分類される不良と関わりがあり、今その関わった奴らを気に喰わないと思っている奴らがそいつらの周りから容赦なく潰しているらしい
そこで、関わりのあったトワを探し、この街中でトワが捜索されているようだ。
捕まれば何されるか…
この街、特に繁華街を一本中に入った裏街では警察も関与できない範囲がある
だからこそ、犯罪は絶えないのだが…
「ミキ、突然悪かったな。仕事途中だけど、今日はもう行くわ」
トワが俺にそう言って、今の状況を報せに来たヤツを立たせている
「もう大丈夫?来た時は死にそうになってたけど」
クスクスと軽く笑いながらトワの隣にいるヤツに笑いかけると、そいつは顔を赤くして
「お見苦しい所をお見せしてすみません。あ、あの…俺トワとは知り合いでトサと言います。ミキさんですよね?あの…ココで働いてるんですか?」
そう矢継ぎ早に言われても全部に答えられないのに。
少し困ったな…と思いながら
「ミキです。よろしくね、トサ。俺のこともミキって呼んで?あと、ココで働いてる…と言うかバイトのようなお手伝いのようなまぁ、訳あって今ちょっとお世話になってるんだ」
「そ、そうなんですか…あの…今度遊びに来てもいいですか?」
控えめにそう尋ねるトサに、にこりと微笑み
「勿論!今度夕食でも食べに来てね。ココ喫茶店の癖に夕方からしか開いてないから」
営業時間は午後5時から。
昼間の営業はマスターの気まぐれでたまに開店している。
「いっそのこと、バーにでもしてしまえば良いのにねー」
「そしたら未成年であるお前はこの店に入れないな。ほら、コレ運べ」
ドンッとカウンターに皿を置かれる
「マスターの意地悪!でも、本当に未成年出入り禁止にされたら困るから喫茶店のままで居てね」
「お前の働き次第だな。ほら、これも」
次から次へと出てくる皿に少しうんざりしながら
「了解。あ、トワ帰るんだっけ?何があったか知らないけど気をつけてね。俺が協力できることがあったら遠慮なく言ってよ。少しは手伝うからさ」
皿を持ちながらトワにそう言うと
「気持ちだけ受け取っとく。ミキに頼るとお前の保護者が黙ってないからな」
と苦笑を浮かべて店を出て行った
「そっか。俺が関わるともれなくケイ達もくっついてくるからな…」
良いのか悪いのか、過保護な親友達を思い浮かべて思わず笑ってしまった



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