[9]

翌日、思った以上に今のこの街の状況は悪いのだと知った


今日は、昨日のトワのこともあり気になったので午前中から外へと出てきた
理由は勿論情報収集。
片っ端から不良の溜り場に顔をだし、近況を聞いていく
ただ、それだけ。しかし、コレが重要なのだ。
「最近見かけなかったくせに。どうしたんだよ?」
行く先々で尋ねられるこの質問に
「俺だっていつもいつも暇じゃないんだよ?プライベートが忙しかったのー」
と軽い口調で返す
まぁ、事実に変わりはない。
そして、行く先々で尋ねた結果、この街の不良達にとっては死活問題になりそうな事態になっていた
本来なら圭介に相談したいところだが、圭介は実家の都合で今は家にいる。
誰に話を振るべきだろうかと今現在の知り合いの中で良さそうな手札を探すが、たいした知り合いが居ない事に気が付いた
「うーん…」
どこに話を持って行っても大変なことになりそうで、だからと言って放っておくこともできない。
どうするべきだ…
「おい、美希也。さっきから唸ってどうしたんだ?」
見かねたマスターがそうカウンターの向こうから声を掛けてくる
「うーん…なんか大変なの。俺じゃなくて、この街の不良達全員がなんだけど…」
「はぁ?何かあったのか?」
午前中、どこに出かけるとも言わずに勝手に行動したため、マスターにはまだこの話をしていない。
話したらまず、そんな危険な場所に出向いたことを咎められるだろう。
それはそれで嫌だ。
「おーい。普段なら何も聞かなくても話してくる癖にどうしたんだ?今更街の不良共の所に単身で乗り込んだことは攻めねぇから言ってみろよ」
どうやら俺の行動はお見通しだったようだ。
「実はさぁ…昨日のトサとトワの話が気になったからちょっと調べてみたんだ。その、危険な不良のことを。そしたら、この街にたむろしてる不良の多くが関わりを持ってたみたいでさ、昨日トワと関わりがある狙われてる不良の周りを全部潰そうとしてるって話があったけど、もしそうなったらこの街のほとんどの不良がそれに当てはまって、下手したら大惨事になるなーってことが分かったんだ」
「へぇ、それはまぁ大掛かりなことになるな。しかし、そうなったら下手に不良ぶった奴らが居なくなって良いんじゃないか」
「げっ、マスターそんなこと言わないでよ」
言外にお前らガキは邪魔だといわれたような気がして少し凹む
「まぁ、大人しくなるなら…それでもいいんだ。でもね、被害にあう可能性の人たちが多すぎて…荒れそうだなーって思って」
「…日常茶飯事だろう」
「それもそうなんだけどね」
裏街で平和を求めることが間違いとも言える
喧嘩は日常茶飯事なのだ。ココでやっていなくてもこの街のどこかでは乱闘騒ぎが起きているのが当然というほど
「元からお前が関与する隙なんかないだろう。無い頭使ったって仕方が無いぞ」
「うるさい!無い頭って何だよ。俺にだって脳みそはそれなりにあるって」
マスターの失礼な言葉に怒りながら、確かに自分の関与できることはあまりないなと考える
俺は喧嘩を求めてこの街にいるわけじゃない。
だから、力勝負になったら最終的には負けるだろう
喧嘩慣れした奴らに勝てると思うほど自分は強いとは思っていなかった



← Back    NEXT →

ページ一覧】【一言】【TOP】【HOME

Copyright(C) Shino komanami.All Rights Reserved.