何だよ…これは。
何で、誰も助けないんだよ!!
「お前ら…コイツのこと好きだったんじゃないのかよ?何で、助けてやらないんだよ!」
思わず叫んだ
だって、おかしいだろ?
「お前ら、コイツが「幸せ者」だって言う度に「俺も」と返してたんじゃねぇのかよ?!」
「そ、そうだよ!俺は…お前達が少しでも幸せになればと…」
俺の言葉に転校生が食いついたが、風紀委員長達がそれを許さなかった
「俺達の傍に居てちやほやされることがお前にとっては『幸せ』に感じる時間なのだと以前言ったな」
「だから、俺達はお前の望みを叶えてあげていたんだよ?」
風紀委員書記が先ほど項垂れていたとは思えないくらい、ハッキリとそう言った
…お前、さっきと同一人物だよな?そんな腹黒キャラだっけ?
「正直、貴方の云う幸福は理解しかねますけどね」
最後にそう言ったのは生徒会副委員長。
「何でぇ…俺は、お前達にも幸せを返せていたと思っていたのに…」
転校生がグスグスと泣き崩れている
「愛情を注げば愛情を返してくれるということか?」
「私の笑顔が仮面だということなんて生徒会や風紀委員なら誰でも知ってることだったんですよ?別に、誰かに気付いて欲しかったわけでもないですし」
「「僕達が一人一人違うことなんてずーっと前から分かってるんだよ?でも、わざと合わせてるって何で分からないのかなぁ?」」
それぞれが転校生が彼らにとって良かれと思いやったことを否定する
確かに、全て生徒会と風紀委員なら分かることばかり。
双子に関しては、この学園内でも見分けが付く奴はかなり居るだろう。彼らは姿形は確かに似ているが、二卵性なのだから
恐らく、親衛隊からのイジメよりも、転校生にとってはこの信頼していた…友達だと思っていた彼らからの攻撃が一番堪えただろう。
出会い、名前を呼んだ瞬間にその人は自分の友達だと思い込んでいた転校生も悪いけれど
「さ、そろそろ出て行ってもらおうか。この学園から。浜川悟」
生徒会長の冷酷な声が部屋に響く
可哀相だが、彼は色んなことに気付けず色々とやりすぎた
生徒会長と風紀委員長に連れられて部屋を出て行った。
彼らが行ってから、そう言えば…とポケットから1枚のカードを取り出す。
昨日、寮の周りで拾ったゴミの中にあった1枚のカード
数年前のカードだが、俺と同じ学年を示す生年月日が記載されていた。
少し考えて、転校生を追いかけた
追いついた時には、用務員から荷物を受け取り、学校から出るところだった。
既に委員長達は居ない。
「おい!どんな理由があったのかなんて知らないけど、お前が望む幸せをあいつらに与えることで自己満足するんじゃなくて、ちゃんと自分でつかまないとそれは自分の幸せになんかなんねぇぞ。次は偽らずに、ちゃんと自分と見詰め合えるようになったら会いに来い」
そう言って持っていたカードを投げた
「…なんで、コレ…」
「そのカードの浜川譲って奴とお前がどんな関係かは知らないが、そんな色々無理したって何も得る物はないって今回のことで分かっただろ?じゃあな。浜川」
俺は、この時初めて転校生…浜川を呼んだ。
浜川にとっては、この学園生活は辛いことばかりだっただろう。
だから、俺は『退学』という処分は浜川やこの学園の奴ら全員が幸せに解決できる唯一の方法だったと思う
本当にコレがハッピーエンド?
人それぞれ違う幸せの理論。